カットの尺についての解釈

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    絵コンテの横にも記入するそのカットの時間の尺

    個人的3つのステップ

    ・作品が上映する決められた合計間内に収めるよう一通り全体のカットごと尺を決めていく

    ・合計時間のために無理やり思い描いた全カットを収めるのでなく
    削っても意味は通るよう不要なカットを削り、足りなければ追加、
    一つ一つのカットの尺は適切な長さにする

    ・合計時間がぴったりになるよう微調整のために各カットの尺をコマ単位まで含め
    削ったり伸ばしたりする



    というのが前提として、
    感覚でカットごとに尺を割り当てていく、という以外に過去の人たちによって固まってきた規則みたいなものや、
    感覚を科学的(?)視点などからつめていく新しい考察があります。


    CG&映像しくみ事典などに台詞の1:3ルール(カットの切り替えのときの間の比率)や、
    7:3でつなげるアクション編集などがあるので基本は割愛します。


    自分は、感覚で決めることを別の視点から見て思い立ったのが、

    「感情グラフ」、「脈拍」、「カット速度」、「カット加速度」、

    というキーワードです。



    「感情グラフ」というのは起承転結や盛り上がりを示す山と谷のグラフを
    ヒット作や評価の高いものなど集めた情報を整理し、
    どういうパターンが好まれやすいかという統計的な部分から攻めるものです。

    とある方から聞いた話で、
    ハリウッド映画では当たり前のように解析しつくされてシーンやカットを配置していくらしいです。

    アメリカの映画学校ではかなり深くそこら辺を叩きこまれてる感じが映画関連の白熱教室の授業でも見た気がします。


    「脈拍」というのは実際試すのは難しいですが、映画を見ているときの脈拍や発汗などの状態のデータを取って
    どのシーンやカットでどう変化し、そのデータと映画の内容や流れとの関係性から型やヒントを得るというものです。


    そして実際に家でも出来る方法として、良いと思った映画などのカット数とシーン時間や意味あるまとまりごとの時間から
    「カット速度」(cut/s→cut/minutesで)や「カット加速度」(cut/s^2)を出して参考にするというものです。
    (ゴロよく速度としてます。理系の人なら速度でなく速さでしょなど他多々ツッコミもあるかと思いますが以下暖かくよろしくお願いします。最近流行りのPerfumeとかの立体的映像とかなら方向があるので^^;)


    これは会話の内容で個々の尺がことごとく変わるかもしれませんが、
    シーンでのカットの平均速度をコントロールすることで、会話のテンポをあえて作る、
    他にはアクションシーンでのテンポを上手く作る、
    という意味では心地よい映像を生み出す手助けとなります。


    編集を自らの手でやっている監督はここら辺のつめがものすごい上手で、
    自然とその見入っていく流れというものを作っているので、それを見える化してみます。


    カット加速度は、「感情のグラフ」に近いもので(シナリオや脚本、曲での感情的要素を除く)、
    カット割りが激しくなるシーンの特徴として緊迫、感情が盛り上がる、人数が多いときで、
    これらのときにカットの速度があがり、とくに緊迫や感情が盛り上がるときにカットの切り替えの加速度が増えていきます。
    シーンごとで場面での意味も変わると当てはめにくいのもあって、
    代わりの参考としてカット速度の最小と最大だけを出してカット加速度は割愛します。



    一例として、下記のドラマで数字を見てみました。
    日常風景をテンポよく魅力的に見せているのですごい気になったのです。
    (注 ※各監督、各作品にそれぞれの演出方針があり、これが全てではありません)
    速度を出す範囲など若干アバウトな部分もあります(盛り上がったシーン、平坦なシーン、などのサンプルから)。

    2話と3話を選んだのは、監督別としても見たかったため。
    (この場合でも1話と最終話を担当した堤さんの方針と打ち合わせて各監督が演出を調整していると思われます)


    ●サンプル「家族八景」



    ・2話 堤幸彦監督
    ドラマ時間:24分
    シーンの数:12
    シーン尺:大2、中3、小7
    総合:484カット
    平均カット速度:約20(cut/分)
    カット速度範囲(最小と最大):13〜35(cut/分)
    同ポ率:70%(例:主人公と次男の最初のシーン会話 12/17)
    新規絵の数:156


    ・3話 白石達也監督
    ドラマ時間:24分
    シーンの数:13
    シーン尺:大2、中7、小4
    総合:601カット(大家族を扱って人数が多いから)
    平均カット速度:約25(cut/分)
    カット速度範囲(最小と最大):14〜48(cut/分)
    同ポ率:73%(例:主人公と亭主の最初の会話 35/48)
    新規絵の数:114



    以下説明です。


    ※同ポ率→固定絵の割合しだいで流れのリズムの安定感を出し、面白さを左右。多すぎず少なすぎず。
    同ポ→同ポジション(アニメ業界の専門用語):アニメなら背景美術で同じカメラアングルの再利用など。
    TVアニメなら予算の関係で多用することもありますが、映画アニメなら細田守監督もよく効果的に使います。
    とくに会話のキャッチボールのときに注意する。

    率の出し方は1つのシーンでの会話中(人物出現中)、(同じ絵のカット)/(やり取りする特定の人物が出現してるカット数)
    解析例 12/17≒0.7
    →70%
    7割近辺が好ましい。空間を認識する、溶け込むのに7割くらいで安定する。
    逆にその結果から引き絵などは2〜3割入れるのが好ましいと導かれます。
    コンテ作成したあとこれらの値に近づくようコンテを微調整する。
    会話のずり下げずり上げ、インサートを使ったモンタージュ手法などで調整する。
    →堤監督は同アングルを個々に撮り、主に編集(AvidやPremiereなど)で会話のラリーを切り貼りするスタイルです。


    ※新規絵の数
    背景変化、アングル変化、大きなTUTB、昼夜変化、模様替え変化。
    (アニメでは背景美術などでの予算や労力に関わってくるのでこの数も見てみました)



    カット割り時間考察:

    24分(30分単位)の映像

    新規絵は基本多いほうが良くて、150前後が良い(アニメだと予算の関係で制限される部分)。
    カット速度範囲 13〜41cut/分 が良い。激しいアクションが入るときは〜50cut/分。
    最高カット速度は山場にひとつ持つくらい。最高カット速度の時間の前はカット割りは加速する。
    山場を越えたら急に速度を落とすのが通常手法。
    (静寂に一揆に戻して鼓動を聞かせて臨場感を感じさせてるのだと思います)

    カット数は同ポ率を7割に安定させ、500カット前後にする。
    このドラマの場合、人物が脳内妄想と現実で衣服や装飾が変化する部分もカットに含めると、1.25倍くらいになる。

    カット割りの極意はすべての人物の絵を満遍なく見れること。画面分割して見るにしても必ず偏るので、
    満遍なく見せたいと思うとどうしてもカット割りが増える。

    コストや時間などの尺でどうしても削りがちだが、削るくらいなら詰め込め、がベストと言う感じの演出。
    効率的な撮り方や方法を「仕事学のすすめ」という番組に監督自身が出演してるので見ました。
    実際それが受けてる、売れてる、人気になってるのが堤監督の演出方法の結果なのだと思います。



    ・参考
    30分TVアニメの場合
    300程度が普通。
    270以下くらいで少なめ、350以上だと多め。
    制作会社シャフトは400越えが多い。
    化物語14話が455カットなどがある。


    個人的に映画の場合も、今回解析した30分の尺を2倍、3倍にして整えたものとして作ると面白いものが出来ると
    感じます。
    というのも、堤監督のテレビドラマの演出スタイルが好きだからです←
    (映画になると、何か難くなると言うか…。)



    ・他

    映画講座(23)「カット割りについて」
    http://t-masuda.at.webry.info/200609/article_1.html
    上記のHPは無くなってしまいましたが、

    >「カット割りは、その時、観客がどこを見たがっているか、を考え、するものだ」
    >「カット割りは、その時、自分が観客にどこを見せたいか、を考え、するものだ」


    これを意識し、どの会話の言葉でも言い出しと聞き手が出すおいしい演技の部分をどんどんカメラで切り取る、
    というのが堤監督も同じように言ってました。
    役者さんも本気です。それぞれ色々その状況であれこれ考えて演技してくれます。
    現場の雰囲気作りという能力が試されますね。


    アニメ業界なら、役者がアニメーターさんであり、作った動きや芝居の個性を尊重することでもあり、
    その大元は監督や演出自身が演技や芝居を細かく指示する、ですからね、重大ですね…。






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