カメラと人物の距離、切り替えタイミング、心地よい流れについて

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    カット速度・カット加速度・ヨリとヒキのカット割合、
    カットのアングルごとの割合、
    などについて今までの記事で書きましたが、
    絵の時間的な区切り、絵の割合、などの総合的なものでなく、

    映す被写体とカメラまでの距離(つまり切り取る絵)、その切り替えタイミング、その心地よい流れ、
    について見てみます。




    今回の事項も「感情グラフ」というものに近い要素であり、
    感情グラフと同じ波形のような動きで感情に直接訴えかける、
    映像にのめり込ませるための最大の骨格となる部分な気がします。
    (監督で言うならここが技術的個性であり差が付く部分)

    多分一回の記事だけでは完全に解き明かしにくいと思います。
    世にいる監督たちは何年も経験と思考を重ねて知識として溜まった無数のパターンを
    映像の各シーンで適切に組み合わせる感じでしょう。


    今回も世に出ている映像作品を解析しました。

    例として、
    敵の基地の中に数人で乗り込んでいくシーン。


    内容をおおざっぱに言うと、

    敵の基地の外から、超ロングショットで基地内に向かっていく人物たちと風景を映して攻めているという状況説明を
    何カットも重ねます。
    いよいよ敵がいる基地の扉の前に来るに従い、超ロングショット→ロングショット→ニーショット→ミディアムショット、
    といった具合に状況説明から緊張している人物たちの表情の様子にカメラが寄っていきます。

    闘いが始まれば、その立ち位置や状況説明の全体を映すヒキ絵を少々と、人物たちと敵たちの
    ロング、ニー、ミディアム、クローズ、エクストリームクローズ、
    といった人物をメインに切り取るカットを多めに混ぜていくことになります。
    (ヒキの絵が挟まるのは、場所が変わった、立ち位置が変わった、
    などといったときの基本的な状況説明を挟む意味合いで適宜入れられています。)


    さて、ここでの
    カメラの方向(アングル)に関しては人物たちの対面する視線の方向や視線誘導、
    画面での人物配置のレイアウトは人物たちの立ち位置で見たり対峙したりする方向に空間が開く、
    などといったのは今までの記事の説明でわかると思います。
    (「視線心理レイアウト」、つまり前回の記事の視線をそらすレイアウト技はゆっくりとした状況のときに使えます、
    今回のカット速度が激しい感じのシーンで使うと認識時間が少ないのでめちゃくちゃなレイアウトに見えてしまうので注意。
    ですが例外として、人物目線カメラでの心の動揺を表すおおざっぱな画ブレで上下左右に人物を寄せるのはOKな感じです、
    下記記事内容でなぜOKかという正体がわかってきます)


    問題は、

    この寄ったり引いたりするカメラの動きについて、

    人物のどの動き、
    人物のどのセリフのときに、
    人物のどの心境のときに、

    どの距離のショットを入れればいいいのか?


    という疑問がわきますね。


    そこで今回の心地よいと感じた突入シーンがある作品で、
    カメラから人物までの距離を、慎重にカット別に並べて人物の大きさなどから距離を丁寧にメモし(かなり粘りました)、
    どのように距離別カット(切り取る絵)を切り替えていくか調べてみました。
    (もちろん、状況把握ヒキ→主人公の顔→相手の顔→状況確認ヒキ→主人公の顔→相手の顔、
    のように見たい絵を映すべきという映像の原則があり、セリフや脚本に沿って満遍なく切り取り切り替える、
    というのはお客さんの見たい絵が何かを考えれば分かることですね。
    ですがそのカット数や切り取る大きさ、タイミング、同ポなどをどう交互に入れるか、
    などは最前線のプロの編集から読み解くことにしました)




    ★カメラと人物までの距離(心拍)


    ※クリックで拡大します
    ※縦軸の距離は望遠レンズで写すという感じに距離感を揃えてますが、
    実際使うレンズでの距離と完璧に一致する値ではないので、
    レンズごとメモリを相対的に脳内リマップする感じで見てください

    ※距離のメモリの目安

    8000:〜
    7000:超ロングショット(100m先以上くらい)
    6000:〜
    5000:ロングショット(体全体)
    4000:ニーショット(ひざ上)
    3000:〜(腰上)
    2000:ミディアムショット(バスト)
    1000:クローズアップ(首上)
    0000:エクストリームクローズ(目や鼻周り)


    ★カメラと人物までの距離(呼吸)


    ※クリックで拡大します

    の曲線は、解説に出てくる大きな波形、「呼吸」にあたります


    これ、まさに心電図、心拍数の変化のようですね。
    映像の迫力に、カメラによる距離に相関があることがよく分かります。

    色別にしたのは色相の変化で心情がビジュアル的に分かるよう分けてみました。
    (フォトショップなどの色相バーを実際にいじってみると繋がっててわかりやすいです)

    →戦い
    赤→緊張
    紫→冷静
    ピンク→冷静と緊張の間
    オレンジ→緊張と戦いの間
    緑→戦いと冷めるの間(今回は不思議)
    水色→冷める

    場面を見て同じ赤でも少し色相をずらして心情を出してます。

    色による与える印象についても今後の機会に記事書けたらと思います。
    (画面の心理的効果のある配色、色彩設計について)



    ■シーン区切りごと解説

    ※解説で、上下する、揺らす、というのは今回の「カメラと人物までの距離」の折れ線を指しています

    ○敵を追う

    基本的な戦いやアクションシーンでは小刻みに距離が大きく上下するのが分かります。
    カット速度が早く、カメラ距離の上下動が激しいです。
    さらに距離の最大最小範囲を見るとニーとロングショットを中心に上下するようです。
    役者が激しい動きをしているので、近すぎるとカメラとぶつかってしまう、
    動くので近すぎると画面からすぐ見きれてしまう、という感じで覚えると良いかもです。

    距離を細かく上下動させながらも、
    「敵を追う」シーンの範囲内で二次関数や正弦波のような形に近似出来る(赤の曲線)
    山谷を大まかに作っている(合成している)のも分かります。
    (パスで作ってすこし形悪いですがアバウトです)
    細かくブラすけど全体的にも大きなゆらぎを作る感じですね。

    小刻みな波形が心拍、おおまかな波形が呼吸の状態の雰囲気、と見ると分かりやすく応用が効きそうです。
    以下の解説から、心拍=青の直線呼吸=赤の曲線、とします

    横軸0.8分あたり、
    カット毎に距離が上下しない部分でも、始点から終点までの中間に綺麗な直線に近くなるよう
    中点を入れる
    という、カメラ撮影での距離感覚、これはすごいと素直に監督の腕にびっくりしました。

    これら点はそれぞれ別ロケーションでしたがカット速度を一定にしてカメラの引き速度も一定にして
    比例直線を作るという神技
    ですね。
    スムーズにもほどがあります(*´∀`)

    多分これが見えにくい部分だけど真髄なのかなと思います。
    考えてなければ絶対に作るのは無理って部分です。

    全体の折れ線グラフの他を見渡しても本当に綺麗に点が足されていく感じ、やっぱ緻密に考えてますね。
    実は今回のサンプルも堤監督なんですが←、
    監督の話によると右腕とも言える優秀な参謀の助監督がいて、
    この方に台本のカット割りからいろいろな配置やスケジュール管理などを任せて頼っているらしいです。
    今回解析の作品では出てこないですが白石さんのことですね。
    これに監督自身が編集でこもってナイスなタイミング調整とかして初めて究極形態となるカット割りのようです。
    ちなみにアニメ作る自分がなぜ実写作品の解析をしてるかというと、
    こっちの手法を取り入れたいのとやり方自由な自主制作だからです。



    ○敵基地扉前突入準備

    1回目の扉前で、少しの距離で素早く上下で震えています、
    緊張感を出すようブレを激しくするため、
    超ロング、ロング、ミディアムショットあたりを使って揺らしています。

    揺らすときはカット速度を上げしっかり揺らし、
    揺らす前と揺らした後はカット速度を落として穏やかに揺れ初めと揺れ収めを作る、
    と捉えるといい感じです。

    シーン上最大値の超ロングショットを使用しているのですが、「基地突入」の部分で解説します。


    ○敵とやり合う前の隊員たちの心を冷静にさせ会話

    距離の最小最大範囲に注目です。
    心を冷静にさせたい会話のときや、
    後半の「負傷した味方を見る隊員」などのあっけにとられているときなどの
    遅い体や心の動きのときは、
    カメラが人物に近い距離であるミディアムショット、クローズアップ
    の範囲で遅いカット速度で緩やかに上下しています。



    ○基地突入

    扉前本番突入で距離がかなり上下して素早く震えます。
    絵全体がガシガシと変わるので、大量の情報が素早く切り替わり、スピードが出ます。

    また、
    シーンの各区切り目、区切り前後にほとんど大きめのヒキを入れるのも分かります。
    状況説明の意味合いが強い
    ですね。

    このかなり大きめのヒキの意味について…。
    何か行動するときって大きなエネルギーを必要とします。
    エアコンもPCもスイッチを入れて立ち上げるときが一番大きな電力を使い、
    スイッチにも一番大きな負荷を与えて経年劣化していきますよね。
    何かの医療関係の本で見たのですが、人も同じように行動する一番最初が
    一番大きなエネルギーを使う
    ようです。
    それが日常的な負荷の浅い動作でも、あるいは起業を決めた人の初日の行動も、
    とくに今回の危険地帯に突入、踏み出す勇気みたいな部分は一気にノルアドレナリンが
    大量分泌されます。
    それを表現するのに、今回解析のシーン内で最も大きな超ロングショットを使っているのが分かります。

    (監督は経験上の感覚でそれを感じ取っていると思われます)

    (ちなみに今解析している作品、絶対に売り込まなければいけない最も力を注ぐ1話なんですが、
    つかみの一番最初のカットが街全体をヘリで雲の上から撮影する超超ロングショットでした。)


    ○基地内走り回る 構える

    敵基地内部、全体の呼吸が一定のカット速度で大きく乱れつつも
    2呼吸くらいで冷静さを保ちつつ、
    心拍も呼吸に寄り添う形で気持ちが爆発前のようなハラハラ感を出しています。
    (敵にどこから撃たれるか分からない生死の状態)


    ○敵目前 しかし異常事態、味方が敵に

    味方を見て呼吸の冷静さは保ちつつも、味方の様子がおかしいので
    隊員の動きが鈍ります。
    呼吸が潜めるように浅くなっていく感じ。


    ○味方が暴走 こっちに向かって乱射、乱射時スロー

    味方の暴走でカット速度が急激に上がり呼吸が一気に上下して乱れます。
    注目すべき点は、通常の0.1倍速くらいの
    時間が引き伸ばされたスロー映像でありながらこの呼吸の乱れです。
    時間を1倍に戻すとかなり細かく上下動、
    つまり呼吸でなくそれは心拍として捉えられます。
    スローでもしっかり距離の上下の緩急をつけて迫力を保てています。
    心拍が上がりすぎた時はそれをしっかり長く見せるために
    スローを使うのが効果的のようですね。



    ○スロー映像の中、不思議なことが起こる

    ここは超スロー映像でした、0.05倍速くらい。
    ここまで時間が引き伸ばされると呼吸も深い一呼吸だけとなり、
    心拍も1回動く状態
    です。

    激しい心拍と呼吸のあとに一気に静かなシーンを持ってくる演出はよくありますが、
    尺に注目です。フォトショップで黄色いエリアを複製してずらして気づいたのですが、
    「味方が暴走〜」と「不思議なことが起こる」の両区間の尺がほぼ同じです。
    またオレンジの部分の「敵目前〜」の部分も尺がほぼ同じです。

    これは規則正しい意味の塊が出来ていませんか?
    曲で言うと、小節単位でリズムを刻んでいる感じもします。

    今回解析したパート全体を見ても、その傾向が綺麗に見られます。

    黄、赤、紫(会話)、赤+ピンク、オレンジ、黄、緑、黄+水色、
    紫のゆったりとした会話以外、ほぼ「12秒」の塊で区切られています


    大きな視点での、心地良いシーン区切りリズムとも言うべき、
    「意味の小節」という区切りが存在していました


    制作上の一つの理由としても、一番最初に脚本のト書きごとに
    時間を割り振る作業をしている、というのもあると思います。

    実際の曲でも、小節単位で全部等速で演奏せず、
    ゆっくり演奏を引き伸ばしたりされてますが、
    そのゆったりな部分が紫の会話の部分に当たるではないでしょうか。



    ○スローが解かれ 味方が負傷

    スローが終わり、一瞬にしてカット速度を上げ、
    小刻みな心拍とあっけにとられる中くらいの呼吸の乱れが起こります。




    ○負傷した味方を見る隊員

    テンションが一気に下がったかのように、呼吸が浅くなり
    味方(敵)が倒れて状態が終結したのと合わせて心拍も下がります





    ■その他考察

    意味の塊で12秒という数字が出ました。

    …12秒って、1分の1/5ですね。

    12+48=60

    ご存知でしょうか、人が作業する時間48分、休憩の時間12分、
    これを繰り返すとベストな集中力で仕事が出来るものらしいです。
    自分も数年前から48分12分の区切りでタイマーを回して作業しています。
    体力が消耗しにくく、飽きず1日中いい感じに作業がまわる感じです。


    48:12=4:1という比率に直せますが、今回の解析でも面白いことが分かります。

    「心を冷静にする〜」のゆったりした休憩のような会話のあと、

    「基地突入〜」から「不思議なことが起こる」までが4単位
    「スローが解かれ〜」+「負傷した味方〜」が1単位

    つまり、
    緊迫して激しい攻防戦という、まるで仕事のようなめまぐるしい塊に対して、
    それが解かれてあっけにとられているという穏やかな呼吸と心拍の休憩のような塊が

    4:1

    長い1時間の作品の中でシーンごと、
    見ている人の集中力持続を細かく自然に調整出来てませんか?


    他の現象の話にこじつけていくと…、
    48:12で60秒を100%の割合換算すると80:20となりますが
    下記の自然にある法則の値に近いのは何か面白いですね。

    【78対22の法則】
    http://matome.naver.jp/odai/2135053716618549801

    ほぼ4:1

    若干調査範囲が怪しいですが注意深く見ていきたいです。


    作業、休憩、という以外の見方としては落差を生む
    つまりずっとアクションシーンだとアクションのインパクトが薄まるので、
    「静」を時折混ぜてその動きの落差やコントラストで強調させる感じですね。



    監督が狙ってやってるのか、長年の経験の腕の良さなのかは分かりませんが、
    どうやらこのような視聴してもらう上での作業と休憩のような
    ウマい比率配分、メリハリあるシーンをしっかりつけることが
    のめり込ませる要素の一つ
    なのかもしれません。








    ■まとめ考察


    見ててとても心地よい流れです。
    法則、というか心地よさを生む規則みたいなものは、
    大雑把に言うと、1つのシーン内で「寄ったり引いたりを交互に繰り返す」、つまりカメラの移動(前後)を振動と捉え、
    振動を激しく加速したり、加速が激しかったと思ったら時たまゆるやかに加速(減速)したりすることであり、
    これが感情グラフ、心の琴線の震え、鼓動、とシンクロしている、
    と分かります。
    詰め込む絵の数とタイミングが決まり、時間が関係することから、カット速度と絡んでくることにもなります。

    心地よさ、ドキドキ感の正体をざっくり言うと、


    「振動」です。


    超ひも理論など、物理学で捉えにくい極限の世界はひもの振動に行き着くことからも、
    カッコつけ「振動」として捉えることにしました。
    (中二病臭くてスミマセン…)

    振動の収束のような、
    ヨリ→ヨリ→ヒキ→ヨリ→ヨリ→、などといった流れはスピードを落とす感じで冷静になるシーン、
    拳銃を構えて敵に照準を合わせる、と言った集中すべきシーンなどで見られました。


    今回のアクションシーンでの振動は、
    視聴者に対しての映像トリック的なドキドキする影響を与えるだけの「カメラと人物の距離」であると定義しました。

    これらはカット別での前後の距離感の話なので、TUやTBなどの用語とは意味合いも違うので、
    「映像の距離振動」と勝手に名付けて以下書いていきます。
    以下からの「振動」という単語も、上記説明での意味で読み替えてください。

    「映像の距離振動」が「心臓の心拍の速さ」と同期している
    というこの要点さえ抑えれば、
    他のどんな状況のシーンでもリマップ(同じように振動の緩急を当てはめられる)で応用できると仮定出来ます。
    つまり絵コンテで毎回どのような絵にすべきかでいちいち迷わなくてすむようになる、ということです。


    この振動は数式で簡単に表せられるようなものではありませんが、
    シーン別にすぐイメージ出来る波形を思い描けて、効率的にレイアウトに反映出来る利点があります。
    見方を変えると、これは今回のような激しいアクション系シーンでなくとも、日常シーン、穏やかなシーンなどでも
    振動の振幅(距離)が短くて浅く、
    心拍や震えに見える周期(カット速度)が遅くなるだけで応用が出来る可能性がある
    と仮定されます。
    (実際他の日常シーンを見てすぐ応用出来ると感じました)
    コミカルなシーンやシリアスなシーンでも値(振幅とカット速度)を変えて当てはめられるということです。


    今までの自分は、1回1回ミクロな視点で、
    このシーンではこうする、このシーンではこれを使う、このカットではこれをする、をしてました。
    手法をすごい細分化してその総合知識と力技で何とか映像を組み立てることをするのはなるべく避けたくて、
    音楽のように曲全体をいつでも美しくする平均律やコードが存在して、
    最低限の知識で狙った伴奏や雰囲気をすぐ作れるのと同じように、
    映像のコード、映像のコード進行とも言うべき狙った効果をすぐ導きやすくする型や理論をあぶり出し、
    体系的に(誰でも)使いやすくするのが目的です。

    今使っているPCやスマフォも家電製品も、電気や機械のベースとなる数学、物理、化学、人間工学、etc…
    全部形作る基礎が存在し、生物の領域ですら遺伝子操作技術(ゲノム編集)が出来たりと、
    中を開けば規則的な事象や現象が基礎となっているのはわかりきっていますよね。

    映像に関しても、ストーリーや脚本は今は扱いませんが、
    それらとは別の要素として、
    「視覚情報」においては生理的に働きかける正体が具体的な塊(数字や式など)として見え、
    音楽の楽典のようにコントロールが自在に出来るんだと思います。




    ○「心理的な距離振動」

    実際の危ない場所や場面は最初はなるべく遠くからみたい心理が働き、
    興味が出てちょっとだけ近づいて、引き下がって、と繰り返します。

    映像作品というのは、いきなり戦場の真ん中、目の前に行ったりする疑似体験であり、
    その距離が自分の心をわかってるかのように前後して動けば、
    同調するようにびっくりして心臓もドキドキします。
    エンターテイメントである映像トリック的な距離の意味合いに、
    もう一つの要素として「心理的な距離振動」としてもこの振動は捉えられます。


    三人称映像において、人物たちのカメラ目線的シーンにおいて
    (過去記事で紹介した人物を映す角度によって、視聴者の客観から人物主観と変わる)、
    人物たちの「心の距離」、としてもこの振動(距離の前後)を使えると感じます。
    つまり人と話す時の物理的距離、パーソナルエリアのような感じです。

    この場合見ている視聴者が人物たちの主観に入り込んでいる状況なので、
    心に訴えかける影響が大きくなります。

    人物のカメラ目線に近くなるカットを、擬似二人称のカットと名付けます。
    三人称で作り並べられたカットたちは映像トリック的なものとしての「映像の距離振動」を基本的に使います。
    これに擬似二人称カットを適宜混ぜ込むと、「映像の距離振動」に加え「心理的な距離振動」を上乗せ出来るので、
    心に働きかける負荷をより大きくかけることが出来ます。


    画ブレでの演出というので、心の動揺を表す手法として昔から当たり前のようにありますが、
    やはりこれも画面の「振動」が心に働きかけてますね。
    (心と書いてますが働く部分はもちろん脳)

    人物の主観目線のカメラで相手を見るとき、カット速度が早くても
    その人物が混乱しているなら画ブレもOKで、見ている相手を画面上下左右に寄せても問題無いと捉えています。
    三人称目線でお客さんの頭を勝手に揺らしてるのでなく、その人物が揺れていることを表しているからです。


    このように、カメラを芸能記者とか、気になる子を見つめてる少年だったり、
    その人物になりきった感じで、見たい、見せたい、その絵を切り取る感じで「心理的な距離振動」をさせます。
    道端で見つけた有名人に恐る恐る近づこうとする→ロングショット、
    心を許してそうな感じの有名人ならどんどん近づく→バストショット、
    でも何か不機嫌そう→ロングショットに戻る、
    興奮してすぐ話したいときはいっきにTUで→バストショット、フェイスショット、
    といった感じで人物の主観カメラなら心理的な意味合いでどんどん距離振動をさせて演出します。
    これも「映像の距離振動」と同様にグラフを書くだけです。





    ■「映像の距離振動」の使用方法、作り方、書き方


    今回の解析結果から分かったことをどのように実践、応用・当てはめるかは簡単です。
    解析した画像のようにグラフに軸を取って波形を書くだけ
    縦軸が距離、横軸が時間

    脚本からおおまかにカットを出したあと、
    脚本から読み取れる行動や状況からの心理状態を見て、
    今回説明した呼吸(赤)心拍(青)の山谷のグラフをグラフ用紙に書くように波形メモをするだけです。


    最初は縦軸の距離は各シーンを細かいメモリに合わすとか神経質にならず、
    グラフの縦軸を0から10を目の前、真ん中、遠い、とざっくり範囲を決めて
    横軸の時間軸に各ト書きやセリフの要約だけをメモして、
    それを目印にイメージした雰囲気の波形だけ書く感じです。


    ポイントは、脚本から得たト書きでの雰囲気をそのまま「呼吸」の大きな波形になるようざっくり書き
    次のステップでシーンの細かい状況、行動、セリフのときの部分まで拡大して「心拍」のような上下振動のグラフを
    呼吸の波の線に重ねるよう書いていきます
    (波形の合成というやつです)。

    なれたら予め縦軸にショット別にメモリをとったグラフを作成して
    それになるべく正確に波形や点をプロットしていきます。
    横軸は時間の数字以外のト書きやセリフメモは毎回簡単に記入します。
    (エクセルで脚本書けばグラフの横軸への注釈が自動入力出来そうな気も…)


    まさに音量と時間をリアルタイムでサクサク調整する音楽の指揮者のようです。
    映像の指揮者になった感じで頑張って波形をコントロール、調整します。

    カット速度を上げる・下げるというのは、
    今回の心拍、カット間の時間幅を縮めて細かいギザギザを作る感じですね。
    ギザギザにしなくてもカットの時間幅だけつめてカメラポジションを工夫して滑らかに距離をつなぐでも良いです。
    (始点終点からの中点を決める、という説明部分)

    会話のラリーで細かく切ってギザギザを作るのもいいし、
    数台色々な距離に配置したカメラポジションを素早く変えてギザギザを作るのも良さそうです。


    使用する適切なカット速度、ヒキとヒキ以外の割合については
    → http://blog.yurikamomehouse.com/?eid=112
    使用する適切なアングルのカット割合については
    → http://blog.yurikamomehouse.com/?eid=115


    上記の値とも照らし合わせながらプロットしていくと効率的です。
    (もちろん、カット速度、カットの種類の割合などに関しては人それぞれもあると思いますので自由でもOKです)

    ちなみに全て実写での話ですので、
    資金とか縛りがあってアニメでやる場合は予算との兼ね合いでかなり違うので注意してください。
    (自分は完全自由な自主制作なので^^;)
    それでも、3Dセル調制作なら、ショット別素材制作と編集を巧みに使うことで
    同ポを利用したカット数の割増でテンポを作ることは出来ると思います。





    今回の考察は時間軸を扱う音楽制作からもヒントを得たもので、
    曲を作る時は最初に曲の雰囲気、AメロBメロサビなどの構成から楽器、テンポ、キー、転調、和音、など
    けっこう事細かにサクサクと決めてから一気に打ち込みで作るというもので、
    映像に関してもまったく同じだと思いました。
    そしてこの構成を決めるのが一番今後を左右する、ストーリーと同等のエネルギーと時間を使いますね。

    短編のレイアウトを細かく出してることはしてますが、
    全体の流れを意識せず細かくやるやり方ではかなりのカット破棄する可能性が出て非効率です。
    という点も踏まえて今回本気になって解析した次第であります。

    「映像の距離振動」は今年最初の大収穫です。視野が一気に変わりました。
    このグラフにあとヨーイングとピッチングとローリングの折れ線だけ加えて次に行こうと思います。
    (方向、あおりふかんはさんざん触れましたが、それらの「心地良い流れ」について少し気になってます)

    また距離の積分じゃないですが、シーン内区切りごと、何シーンかの意味ごと、
    距離の合計値、配分とタイミングが映像の心地よさを生む一つの指標数値として
    どうもヒントが隠れてるのではないか
    と疑っています。
    これは4:1の比率のような、シーン内の細かな次元で緻密に仕込んでいけるものとして見たいのです。
    物語は実際のかかった時間や移動距離を映画の短い尺に圧縮しています。
    ハリウッド映画などは作品内の2週間の出来事を2時間の映画に圧縮するのが多いみたいですね。
    移動距離が潜在的な疲労や旅行気分を感じさせているのは、
    ロケが多い番組を見ていても感じています。



    …という感じで、

    ものすごい長い記事になってしまいました。



    しかし経験が浅すぎるときは知能をフル回転させて同じ土俵に持っていけるようにする、
    こういうのを近日「絵」と「劇伴」についてやりたいです(願望)。
    (紹介したいと触れた色などについても)
    全部短編アニメと長編アニメの下地としていきます。



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