人物のカメラに対しての方向

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    人物のカメラに対しての方向(角度)に関しては、
    位置や視線の一致で映像の原則的なものはすでにあるのですが、
    人物が毎カットずっと同じ方向を向いた絵で続くのはさすがに無いので、
    ヨーイングに関して詳しく数値を見る試みです。

    カメラワークというより、「絵という塊」の情報の流れ、をどうコントロールしているか、
    という感性や感覚を数値化します。
    つまり監督が役者さんに、立ち位置や向く方向を細かく指示している部分に当たります。



    ■今回の方向の定義

    以下、回転3要素ですが回転する対象が人物とカメラで違うので注意です。
    (ピッチングとローリングはおまけで見てみました)

    ・ヨーイングは人物がカメラに対して正面向いているのを0度としての人物自体の回転として見て、
    人物から見て左向き側(反時計周り)がプラス、
    その反対(時計周り)がマイナスで180度と-180度まで。
    人物が完全に180度のときは動画で回転をひねる前の方向からプラス・マイナスを判断してます。

    ・ピッチングは人物がカメラに水平に映るときが0度としての人物自体の回転として見て、
    マイナス側が俯瞰、プラス側があおり。-90度、90度が目安ですがそれを超えた場合は
    180度、-180度までで、その角度では足が画面上部方向になるなどといった絵になりますが今回は出てきませんでした。
    空間で人物がたくさん回転するシーンなどの場合は除外として、その場合もカット内を平均的に見てカメラが
    ふかんかあおりという視点で人物の角度を出します。

    ・ローリングは カメラ自体の回転 で時計周りがマイナス、反時計周りがプラスです。


    ■映像作品から得られた解析結果のグラフ




    ※前回の解析した作品を利用しています



    ■グラフ全体を見てのざっくり考察


    ・ヨーイングはカット毎にしっかり振って特定の方向だけにしないようにしているが、
     全体的に見て片方(プラスかマイナス)の方向を映す回数が多くなるよう偏っている。


    ・ピッチングは俯瞰多めであおりがすごい少ない。

    ・ローリングはほぼ無し、ほぼ水平の絵、走る人物を追う時微妙に傾く程度。




    ■シーンに合わせ、細かく見ての考察


    ●ヨーイング


    カメラポジションを固定して映像の原則としての方向の一致を守り、
    落ち着かせる会話の安定したシーンでは会話のラリーでその角度を崩さず維持して
    カメラ方向を切り替え
    ています。

    画面を安定させたい銃を構えて照準を合わせるシーンでも角度を崩さず維持し、
    カメラを交互に切り替えています。

    0度のときは人物たちの会話や向かい合ってる時でした。

    野外の激しい戦いのアクションではない
    穏やかな会話やスロー状態、建物内で入り組んだ場所では
    極端にプラスマイナスで方向を振らず、
    スムーズでなめらかにつなぐよう角度を細かくプロットして変えていく
    こともわかります。
    空間を認識しやすくするような配慮だと思います。
    室内の激しいシーンでもカット速度を上げて
    丁寧にスムーズな角度のプロットをすると空間をわかりやすくしつつ迫力を出すことが出来そうですね。



    さて、今回の収穫とも言うべき最大のポイントは、マイナス側へのヨーイング、
    つまり視聴者から見て人物が左側を向いてる、←方向に進むカット数が圧倒的に多かった、という点です。
    大勢の特殊急襲部隊(以下部隊)が数名の敵を追い回す中で部隊が映るカット数の割合が多かった、ということ。

    まずこれが意味するのは、映像における上手下手です。

    舞台・映像における上手(お客から見て右)と下手(お客から見て左)の詳しい説明は以下。
    http://matome.naver.jp/odai/2133223646465264301

    ○方向の意味
    ←方向:前進、出発、安心、ポジティブ、肯定、加速、主人公、上位者、味方
    →方向:後退、到着、不安、ネガティブ、否定、減速、来訪者、下位者、敵


    ※ゲームのマリオのステージは基本的にほとんどが左から右に向かって進んでいきますが、
    これはインターフェイス的理由、初期の頃の業界の認識、が理由のようです。

    方向や位置に関して、
    座る時、心理学でも左側か右側でどう印象や感じが違うかという研究がありますね。
    わかりやすくまとまってる例↓(心臓の位置や生物の成り立ちから意味がある)
    http://matome.naver.jp/odai/2134856525515303201


    よって部隊が映るシーンでは殆どが←方向進行敵が映るシーンでは→方向進行でした。

    敵は追われて部隊のカット数が多いということは
    部隊が攻め込んで優位にたっている雰囲気を出せています。

    しかし味方が敵になった途端、→方向が増加して立場が逆転していきます。
    ここで時間と角度の積分、つまり面積(絶対値)が多くなって目立っていることに注目です(今回の目玉)。


    グラフの縦軸0度より上が敵(→方向)、0度より下が部隊(←方向)、です。


    部隊は圧倒的戦力で敵を攻めて優位だったのに、結末は味方が敵になりやられてしまい敵の正体も不明、
    敵は消えていますが、部隊が致命傷をうけて半分負けていることです。
    ←方向のカット数は確かに断然多いのですが、面積が→方向より断然少ないです。
    試合に勝って勝負に負けた、と言った感じでしょうか。


    味方が敵になったときのカットは、部隊隊長が→方向でした。
    見方を変えて味方を撃つということでこちらが敵になるのを強調したと捉えられます。
    まず味方の様子がおかしく、敵になる前から部隊隊長を映す時に→方向のカットばかりを映して
    今まで守っていた上手下手を崩して何か奇妙なことが起こるというおかしな雰囲気を出していました。
    また敵になった味方と打ち合いで向かい合っているときは0度を多めにしてたのは
    善悪どっちにも振らない状況を作っている
    と見られます。
    隊長が味方を打ち終わったあとに隊長を映すときはもとの←方向にしっかり戻ってました。



    グラフを見て分かるように→方向の面積が大きくて多いということは
    角度が付くということで客観的な目線が多くなるということです。
    敵が勝っているという客観的で冷静な目線を、狙ってかプロの感覚としてカットに
    組み込んで視聴者にわかりやすくしていると解釈できますね。

    人物が正面に来るほど主観的、渦中の中に入っていく、目の前に役者がいてドキドキする感じ、
    夢中になって目の前のものしか見えない→客観的な視線で無くなっていく、
    と反対のバイアスに働くと解釈します。


    このような視点から見ると、

    冒頭の逃走劇では激しく上下に揺らしている理由が分かりますね。

    「映像の距離振動」がどちらかが勝つか天秤を交互に上下するような演出であり、
    グラフのギザギザがまさにハラハラドキドキを出すためのものであることに対して、
    方向のグラフは、90度から180度の±を上下することで客観視出来て視聴者は優劣を把握します。
    ±180度はほぼ逃げている状態です。
    (意図的に優位な側、結果勝つ方に配分を多く振っている印象)


    敵になった味方が銃で打たれる時はマルチテイクでほんの少し上下に揺らしています。
    善悪どちらに振れるか紙一重な、緊迫で揺れ動くシーン、
    それをちょっとしたゆらぎ、で表現されています。


    撃たれて倒れたあとの味方を映す時もマルチテイクのように
    無残さを客観的に強調するために様々な方向から映すようにしていました。
    隊長が倒れている味方にかけよるも、
    唖然となりつつ冷静な眼差しの状態を大きなゆらぎをつけて表現しているかのようです。




    ●ピッチング

    ふかんとあおりの解析記事のときのように、
    ※ふかんあおり解析記事
    http://blog.yurikamomehouse.com/?eid=115
    やはりあおりは少なめ、
    ふかんは状況説明で
    たくさんの人物をカメラに入れる時、
    相手と会話ラリーや対面するときの視線の方向に差があるとき、
    に多く見られました。

    しかし相手がしゃがんでるカットのときでも、水平で映してふかんにしたりしないカットも多かったです。
    これはしゃがんで怖がっている隊員を落ち着かせるために、
    子供と優しく話すとき腰を落として目線を合わせるテクニックのようなやり方で水平にしていると分かります。





    ●ローリング

    立っている人物を水平を映す時にローリングすることは演出的に人物が首を傾けるときや
    揺れでカメラが倒れた感じを出す時や、心理的に相手を斜めからの目線で見る時、
    そういうッタ意図的な時に使う感じのようですね。



    ■まとめての考察


    ヨーイングに関してグラフから得られる要点をまとめると、数学的な言い回しになってしまいすが、


    ・角度が小さいほど主観的、大きいほど客観的

    ・角度がマイナスが上手、プラスが下手

    ・上手下手の各回数をしっかり割り振りシーン全体に分散させて飽きさせないようにする

    ・上手下手をここぞというシーン区切りで大きめギザギザで振って客観性をつけ押したり引いたりする雰囲気を出す


    ・上手下手の面積を全体を通して意識して優劣状況や進む方向を絶妙に仕込んでいく(進んで戻って進んでの良い繰り返し)

    ・空間を把握させてない状態では極端にプラスマイナスで方向を振らず、
    スムーズでなめらかにつなぐよう角度を細かくプロットして変えたりもする



    これら要点をグラフを書く時に抑えるだけで雰囲気のコントロールが自在となる感じです。

    よってこのグラフを「映像の方向振動」と名付けて雰囲気や心理をコントロールしやすい
    ツールとして使うようにします。



    グラフをギザギザさせて勝負の天秤のようにハラハラドキドキ、
    これも映像の距離振動と同じ、まさに心拍ですね。
    振動の心拍と方向の心拍を同期させてドキドキ感を増大させたり(冒頭シーン区切り)、
    距離の心拍が弱いときあえて方向の心拍を大きく振って客観的に動揺をだしている感じを見せたりと(締めシーン区切り)、
    グラフに書くことでグラフィカルに印象を簡単操作出来ると分かります。




    このように、やはり方向にも「映像の距離振動」の心拍になるようなトリックが大いに関係していました。
    上手下手の意味はもちろん、
    0度に近づくほどぐっと主観的なゾーンに入ってシーンの中の会話や状況に入り込んでいる感じになり、
    ±180度に近づくほど客観的なゾーンに入って人物たちの状態把握や冷静な雰囲気になる感じです。

    よって「映像の距離振動」のギザギザの大きさの認識で違いに注意するのは、

    0に近づくほど緊迫、心がぐっと近くなる、
    180(-180)に近づくほど冷静、客観的に見える、


    「映像の距離振動」が映像トリック的にドキドキさせるものに対して、
    「映像の方向振動」が心理トリック的にドキドキさせるものである、

    と認識すると使い分けしやすいですね。

    グラフを使うときは
    距離振動グラフで映像のダイナミックさを書いてから、
    それを考慮しながら方向振動グラフでさらに雰囲気や心理を足すようにコントロールしていく、
    というやり方が良さそうです。

    絵的なアクションを強めたいときは、距離→方向、の順番、
    心理を丁寧に描きたいときは、方向→距離、の順番、

    と使い分けるのも良さそうです。



    これで一通りの映像の基本的解析と学習が終わりました。
    上手下手に関してからも今まで知らずして作っていたのが怖いくらい、
    実際流通している映像は緻密に原則に則って構成されていることが分かります。
    今後はこれらを意識して現在制作中のアニメを推敲していきたいと思います。





    ○後の解析


    ・PANやTUやTBや背景動画などの動くカメラを入れる場面とタイミング


    です。

    これらの基本的な使い方、意味の捉え方は今までのカット単位での解析と同じ感じで、
    3D酔いについて触れたあおりとふかんの割合記事とも絡んできそうです。
    http://blog.yurikamomehouse.com/?eid=115


    さらに音と映像、という点から、


    ・会話のずり下げずり上げなどの音声と映像の合わせ
    ・音楽理論を含めた音楽と映像の合わせ
    ・効果音と映像の合わせ
    ・これらまとめた編集


    で一息つく感じです。




    ○その後の予定



    色、絵、劇伴・SE・音声、シナリオ・脚本、構成、企画


    を様々な視点から深く見てみます。

    ブログを書く時間も限られているのと一通りまとまったら公開という形にしたいので、
    更新頻度は遅めになるかと思いますが
    ぼちぼち向上していけるようやっていきます。





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