動くカメラワークを入れる割合と場面(タイミング)

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    ■概要

    動くカメラワークを入れる割合と場面(タイミング)について、
    心地よさを出してる作品より調査、考察をしてみました。



    ■動くカメラワークを入れる場面(タイミング)の調査と考察


    ※以下QはQuick(速い)の略です



    ●パン
    ・説明的パン
    →スライド、横スクロールして動く人や物を区切らせず見せたい時
    →人物の目線で他の人物や背景などを見る時、振り向く方向へ動かす

    ・心理的パン
    →何か重要なことを言う時、人物を横へ少しじわパンするなどアクセントを付けたい時など


    ●Q.パン
    ・説明的パン
    →素早く上下左右にあるものを見せたい時
    →人物の目線で他の人物や背景などを見る時、振り向く方向へ素早く動かして強調したいとき


    ・心理的パン
    →何か意味深なことを言う時、例えば後ろ姿の人物を横へ少しQ.パンするなどアクセントを付けたい時など




    ●TU
    ・場所や状況の説明的パターンの場合のTU
    →街全体からある建物へ焦点を当てたいときなど(In)
    →特定の人物や物が画面全体に収まるようアップしてじっくり見せたいカット

    ・心理的パターンの場合のTU
    →見てる人をひきこませるようじっくりみせたいカット
    (心境を語ってる人物や重要なことを言う時などのカットでじわTUで顔にアップしていくなど)



    ●TB
    ・場所や状況の説明的パターンの場合のTB
    →ある建物から街全体へ焦点を外していきたいときなど(End)
    →複数の人物や物が画面全体に収まるよう引いてじっくり見せたいカット

    ・心理的パターンの場合のTB
    →見てる人をひきこませるようじっくりみせたいカット
    (心境を語ってる人物の心が離れていく感じのカットでじわTBでひいていくなど)





    ●Q.TU
    ・人物の迫真に迫る状況を素早く把握させて勢いを感じさせたいカット(場所や状況の説明的アクセント)
    ・アクセントを付けたいカット(心理的アクセント)

    ●Q.TB
    ・人物が置かれている状況を素早く把握させて勢いを感じさせたいカット(場所や状況の説明的アクセント)
    ・アクセントを付けたいカット(心理的アクセント)




    ●フォロートラック、回り込みトラック、(+クレーン)


    ・場所や状況の説明的パターンの場合
    →画面中心に映るメイン人物の周りの複数の人物や全景の状況を見回して映したい時に使われやすい
    (アクションシーンなど)
    →森を抜けたら広大な湖がある時など、背景の変化で人物が見る風景を回りこんで映す時(人物背面映してFIX)
    →人物たちが狭い通路を歩きながら話す時など


    ・心理的パターンの場合
    →驚く様子の人物の表情を後ろから回り込んで見せる時(人物正面映してFIX)

    など


    ※速度が遅い場合
    じっくり、じわじわ強調したいとき


    ※速度が早い場合
    素早く強調して勢いや迫力を見せたいとき


    ※以下その他気になったもの

    ●画ブレ

    ・状況説明の画ブレ
    物理的に物が当たったり落ちたり衝撃があったときや、建物が揺れたりするときなど
    よって揺らす時間や速度も変わってくる


    ・心理的な画ブレ
    緊迫し始めるとき、緊迫してるとき、激しいアクションの固定ショットのとき、動揺してるとき、心理が不安定なとき、
    などに入れる

    これ以外の意味ではほぼ入れない。
    緊迫してるシーンが多い場合も、その全部にわたって入れるのはしない(入れ過ぎない)で、
    他のカメラワークと混ぜて使う。
    例えば緊迫してる状態の場所を離れた距離から見ている人物を映すときは揺れない。



    ※以下スローとOLは動くカメラワークでは無いですがおまけです
    ●スロー

    ・説明的のスロー
    鍵となるヒントなどが映るときに一瞬スローにするとアクセント、強調として視聴者に主張出来る


    ・心理的なスロー
    戦場へ出て行く人物が最後の出発で別れるときなど


    ●オーバーラップ(OL)


    ・説明的なOL
    →昼から夜に変わるとき同じ建物をOLさせて時間変化を感じさせたい時
    →スローを描く時ある程度止め絵にしたのをOLで重ねつつスローっぽくみせる
    など


    ・心理的なOL
    →人物が心のなかで気になっている別の場所や別の人物のシーンへじっくりシーン移動したいとき(現在の想像)
    →過去の回想シーンを思い出す時、鍵となる物や人物の顔などをOLさせてスムーズにシーン移動したいとき(過去の想像)
    など

    未来のシーンを想像するときは、白いもやもやのトランジションや雲ワイプなどを使うと効果的。
    OLは画面を重ねるという要素なので、過去という記憶が重なったものを思い出す時に使いやすい。




    ■動くカメラワークの応用


    ・組み合わせ技で幅を持たせる
    パンしてからTUしたり、TBしてからパンしたりするなど、
    組み合わせることで流動的に状況説明出来たり多様性が出て心地よさのプラスとなります。


    例:

    空高くから人物にゆっくりTUしていき、そのままTUだと尺が長くだるくなりそうな雰囲気を出して、
    だるく感じそうな10秒くらいまでTUしたら(一定の距離になったら)、
    Q.TUで一気に人物を画面全体に収まるくらいまでアップします。
    →メリハリが付く

    同様にフォロートラック、回り込みトラックでも、
    キーとなるポイントで速い遅いの緩急を付けるとメリハリがついて飽きにくい映像になります。


    ・制作の仕方

    AfterEffectsでこれらカメラの動きを作るときは、
    3DレイヤーにしてzポジションでTUやTB、それを位置のグラフエディタで動きを自由にコントロール。
    3D素材などで回り込みをすでに作ってある連番の画像の場合はAEでタイムリマップ編集が効率的です。


    フォロートラックや回り込みトラックなどは、
    編集の時にあえて静止画カットとしてアングルごと止めて、
    それをつなげてパラパラ漫画がゆっくり動いているような映像にしたりすると、
    普通のフォロートラックや回り込みトラックと差別化されて飽きさせない演出となります。
    アニメで作る場合はその静止画だけ作るのでエコに回りこみシーンを作れます。



    ■動くカメラワークを入れる割合と場面(タイミング)の概念まとめ



    ●動くカメラワーク割合の調査結果


    ○シリーズ作品A
    時間:1本60分

    ・パン:10%(パン1カットの時間は通常の1カットの時間の2〜3倍)
    ・TUTB:4〜5%(TUTBの1カットの時間は通常の1カットの時間の2〜4倍)
    ・フォロートラック、回り込みトラック:2〜3%(フォローの1カットあたりの時間が通常の1カットの時間の2〜5倍)


    全部の動くカメラワークとしては全体(全カット)の20%前後で収めるの良いのではないでしょうか。


    「動かす」という点で3D酔いのような影響があるので入れすぎないようにはしたほうが良さそうです。
    また後述するようにアクセントを付けたいときに入れるので、穏やかなシーンではあまり多く入れないように。
    動くカメラワークの旨味がなくなっていきます。



    これらの割合を目安に作品内で丁寧に分配させ、
    作品の最初、作品途中の見せ場、作品の最後のクライマックスなどには密集して動くカメラワークを入れ込んでいきます。


    実写ではかなり動くカメラワークが多いですが、
    アニメだと背景美術も3Dや背景動画で動かすことになるので厳しくなってきます。
    よって大判でパンTUTBなどは使い所に上記の適切な割合で入れて、
    その内訳の中でいかにフォロートラック、回り込みトラック、背景動画させる人物アクション、
    などを入れられるか、それによって動くアニメとして作品としての面白さがじわじわと増していくと思われます。

    業界でなら予算的、自主制作でも労力的にも厳しい部分でありますが、入れ所にしっかり惜しみなく入れるのがベストです。
    ここが特にアクション系統で勝負する作品での差になる鍵だと思います。
    (5分前後の短時間の尺の映像なら、全体の50%くらいまでの動くカメラワークがあるのはありな傾向もします)



    ●場面(タイミング)について

    TUしたら次のカットでTBする傾向から、距離振動をカットでなく動くカメラワークとしてつなげる感じで、
    パンにおいて向きに関してもそれらが守られている感じがありました。

    よって
    人物のヨリとヒキに関しての「映像の距離振動」、
    人物の向きに関しての「映像の方向振動」、
    人物の位置に関しての「レイアウト」、
    という基本の上で、
    いかに「強調したいシーン」にタイミングよく入れるかが重要となってきます(本で言えばマーカーを塗る部分)。

    また各シーンの入りと終わりに入れる、という傾向もあるようです。
    入り→パンダウン、TU、etc
    終わり→パンプアップ、TB、etc




    ○多用しやすいパンのポイント

    何かを語るとき、台詞や説明が長くなるときはパンを入れて飽きさせないようにします。
    平穏なシーンではパンすらも入れない、完全にカメラ固定のカットをつなげて安定感あるシーンは必ず作ります。
    →ただし平穏なシーンが長く続く場合は次の平穏なシーンでパンを少し混ぜること。
    カメラワークを調査でカウントしてて、
    カメラ固定のカットが続くと内容が入りにくくなってきましたが、
    逆にパンが入ってくるカットは内容が入りやすく、飽きにくいことに気づきました。

    よってパンを使うときは人物を追う場合で、
    基本的には映像の視線方向などに流れを付ける意味合いで使っていく
    ほうが良さそうです。

    それ以外に意味を感じないパンを入れる場合は、
    視線誘導も少なく景色の変化も少なく、人物もほとんど動かなく、そういうシーンが続いている、
    こういう映像的に動きがほしい時にじわパンを入れるくらい。
    むやみに意味もなく入れてはいけない
    ということですね。


    ○TUTBのポイント

    説明的なポイントでは、

    ・物語の最初に全体からTU、物語の最後で詳細からTB、などの場所と状況の説明要素
    ・アクションシーンではTUTBを多く入れる、などの映像アクセント的要素


    心理的なポイントでは、

    ・TUは核心に迫っていく雰囲気
    ・TBは落ち着いて全体像を見せていく雰囲気


    上記限られた所以外ではあまり使わず、全体的にもほとんど使うことが少ないです。
    意味なく使うことはしない、ということですね。
    実際の実写撮影での空間を確保する手間、編集でも解像度の関係、全体の迫力のコントロールの関係、
    3D酔い的な観点からも含め、やっぱり少ないほうエコで効果的。



    ○フォロートラック、回り込みトラック
    、(+クレーン)、のポイント


    ・アクションシーン

    ・人物の背を映すように回りこむ景色などの状況説明
    ・狭い場所で動くとき


    ・人物の表情をいい感じに見せる



    などで使い、エッセンス的に全体の数%だけ入れる感じが最善のようです。
    制作する敷居の高さ、全体において迫力というアクセントを付けるコントロールのための関係、
    3D酔い的な観点、これらを見てもかなり少なくて良いですね。
    よってその少ない尺に労力をつぎ込むことで大きなメリハリが付くと思われます。





    ○動くカメラワークの全体のポイント


    実写でカメラを回すときは人物を追ってカメラを動かしがちですが、
    基本的にはカメラを動かさず固定してフレーム内に人物が動いても収まるようとらえて安定感のあるカットを繋いでいきます。
    よってカメラを動かすということは画面の動くのダイナミックを見せたいときであり、
    意味ある強調したいときに使っていくのが定石となるようです。





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