会話のずり上げずり下げなどの音声と映像の合わせ、台詞関連、ダイアログ編集

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    映像作品で会話を心地よく見せるテクニックについて見てみます。

    考察にけっこう時間がかかってしまいましたが、一回の考察では掴みきれない奥が深いものだと思います。


    ■台詞の間の1:3ルール

    先人たちが感覚的に生み出した定番ノウハウです。

    ----------------カット1
    A「昨日出された宿題終わった?」
    3コマの静寂=
    ----------------カット2
    9コマの静寂=
    B「まだ終わってない…」
    ----------------

    こうすると自然でありスムーズになるというものです。
    3コマ3コマのように縮めていくと詰まった感じ、
    9コマ9コマのように伸ばしていくとギクシャクした感じになったりします。


    しかしこれはそこまで意識しなくても会話の内容やテンポや勢いでかなり変わってくるので、
    参考の目安として頭の片隅にあれば良いと思います。
    実際に毎回1:3で話してるわけではありませんね。



    ■会話のずり上げ、会話のずり下げ、インサート

    台詞編集として以下の基本的なものがあります。

    ●会話のずり上げ

    ・次のカットの頭の会話の音声が今のカットの尻に入る


    ●会話のずり下げ

    ・今のカットの尻の会話の音声が次のカットの頭に入る


    ●インサート

    ・今のカットの会話の音声を続けながら別のカットの絵が入り込み今のカットに戻る


    ■これらのダイアログ編集の目的、どの場面で使うか、どのような効果があるか

    ★目的

    ・台詞の間を削って心地よく速いテンポの会話、緩急あるテンポの会話を作るため
    ・台詞の内容に反応する人物表情で見たいと思った瞬間を自然に見せるため


    とにかくこの台詞のとき相手はどんな顔をするか、というのを視聴者が見たいので、
    それをいかにこぼさずに早く見せれるか、というのが常に意識するポイントです。


    視覚と聴覚の反応速度
    反射で、視覚と聴覚ではどちらがどのくらい早いですか?
    http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1481704869

    調べると色々出てきますが、

    速度は、

    視覚<聴覚

    ではあるようですが、実際の内容や受け取り方で同じだったり逆転したりする感じです。

    例えば後ろからやってくる人物が話しかけてくるときは会話のずり上げを行います。
    耳は左右に付いていてすぐに捉えてますが、目では捉えていないからです。

    英語でも耳で覚えて入るほうが身につきやすかったり、
    CM制作では印象づける方法として音を第一のベースとして映像を繋いだりする所から、

    情報として早く捉えられるのは音のようです。





    ★どの場面で使ってどのような効果があるか

    ※音→音声も含みます

    ●会話のずり上げ

    場面:
    シーンのテンポを早めたい時(聴覚的)、
    次に勢いある音が来る時、
    周りから音が聴こえる時、
    次に映る相手が攻めに入るイメージ



    作品のほとんどがこの会話のずり上げで速いテンポを作っている。


    効果:
    テンポが早く感じる(聴覚的)
    すぐ音で内容を読み取れる→次に映る人物の顔が気になる(ストレスの溜め)




    ●会話のずり下げ

    場面:
    シーンのテンポを早めたい時(視覚的)、
    次に説明的な絵が来る時、
    音に対する周りの反応をすぐ見たい時、
    次に映る相手が守りに入るイメージ



    次のカットの物や状況を説明するときに使われやすい。
    会話ではあまり使われず、相手はしゃべらないで話を聞くだけのインサートの方が多め。


    効果:
    テンポが早く感じる(視覚的)
    すぐ表情を読み取れる→次に映る人物の顔がすぐ分かる(ストレスの発散)




    ●インサート

    場面:
    シーンのテンポを早めたい時(視覚的)、
    人物たちの表情の情報を多く持たせたい時、
    音に対する周りの反応をすぐ見たい時、
    次に映る相手が守りに入るイメージ



    話が長い人物が喋る時に聞き手を映す時に使われやすい。
    話してる人物のキーになる言葉によって、相手がどんな風な顔をするか見たい時に使われやすい。


    効果:
    テンポが早く感じる(視覚的)
    すぐ表情を読み取れる→次に映る人物の顔がすぐ分かる(ストレスの発散)





    ■まとめ

    百聞は一見にしかず、ということわざのように、
    耳で聞いただけでは全貌が分からずストレスを溜めることになり、
    目で見たら一発で分かるのでストレスを解放することになり、
    このストレスの溜めと発散のコントロールが鍵となってくるようです。

    会話で小さな時間単位でのストレスの緩急というものがり、
    このストレス緩急にリズムや規則を意図的に持たせることで
    映像の心地よさが生まれる
    わけですね。

    ということは、
    音のずらし振動、とも言うべき具体的にビジュアルで確認出来るものが存在するわけで
    今回の大きな目玉となります。


    会話の音声に限らず、音としてずり上げとずり下げを見たのは、
    例えば主人公と敵が戦う作品なら拳銃で攻めるイメージと守るイメージ、
    というものをこのダイアログ編集でも割合を分散させて、綱引きのような状態を意図的に作ってハラハラさせる
    というコントロールが出来るわけですね。
    音を早くずらす、音を遅くずらす、音をまったくずらさない、という風に時間によってずらしの量が決まり、
    ずり上げとずり下げでプラスとマイナスと定義すると、グラフでその人物が持つ優劣情報をビジュアル化出来そうです。


    Y軸(時間)の中心を0(ずり上げ下げ無し)、Y軸プラスがずり上げ、Y軸マイナスがずり下げ、
    X軸がカットナンバーとする。
    カットの切れ目に対してその人物の発声状況を取る。
    人物ごとグラフを取って重ねて綱引きの狙った振動の状況を確認する。


    実際演出意図や監督によってまちまちで細かく映画やドラマでデータを取ってまとめませんが、
    映像を見ている感じとしてはずり上げずり下げインサートで勢いをコントロールしてるのは明らかです。


    しかしながらずり上げずり下げだけで完全に優劣の状況を出してるかというとそうではなく、
    以下キャラクター性質の解析(シナリオ、脚本の考察項目)も入ってきます。

    会話の速度、文字数の配分、間、音量、音程、内容、態度、容姿、これでも優劣を出しています。


    速度:速い→攻め 遅い→守り
    文字数:多い→攻め 少ない→守り
    間:多い→守り 少ない→攻め

    音量:大きい→圧力有り 小さい→圧力無し
    音程:高い→不快、緊張 低い→恐怖、安心
    内容:強い→攻め 弱い→守り

    態度:強い→攻め 弱い→守り
    容姿:強い→攻め 弱い→守り

    容姿と態度というビジュアルが一番影響を与える、という前提を意識し、
    それに内容〜速度の要素で優劣の差を付ける。

    つまり人物Aと人物B、最初は力の差に大きな高低差があったが、AとBが互角同士の土俵まで来た時、
    綱引きのような効果を生む要素は内容、音程、音量、間、文字数、速度、となる。

    攻め系、守り系に適切な数値を割り振り、これら要素の足し算で優劣のビジュアルが作れます。
    ガチガチに数字の程度を決めるというよりは、
    グラフで時間軸に対して優劣をフィーリングで波のように描くように初めて、
    合成結果を意識して各要素の波を描きます。

    要素分解して数字を細かく整え、雰囲気を正確に操れるわけですね。


    この会話(音)のずり上げずり下げの使用方法としては、
    映像の距離振動」、「映像の方向振動」、「レイアウト」、
    とまとめてきましたが、上記の映像情報とリンクさせるように
    音情報として「音のずらし振動」を編集で作って合成していきます。
    (台本上でもずり上げずり下げのタイミングの記しを付けておくのも良いかも)


    今回は、「ダイアログ編集」という要素だけを純粋に見た時、
    台詞が映像に占める時間、から優劣を作る、ということです。
    台詞の尺の奪い合い、と捉えると良いですね。

    これを掘り下げると、

    たくさん映像に映るほうがそのシーンでの主役」という基本であることが分かります。


    バラエティ番組でタレントがいかにカメラに映るかと奮闘してますが、
    露出量が作品での主役や脇役、そのシーン自体での主役を決めていると言ってもいいかもしれません。
    これの割り振りをしっかり意識することで感情移入が決まってきたりします。
    露出が少なく感情移入する例外は置いておき、
    (本当は光るものがあるのに前に出されてないから自分たちで推して大きくしたい、というような心理)
    CMでの洗脳も、街頭の広告でも、こうやってゴリゴリ脳に刷り込み、
    相手の視界にいかに入れて支配するか、というちょっと生々しいものでもありますね。

    アンチメジャーって言葉もあったり、
    これらの露出はあまりにも前に出過ぎると不快と感じるものですが、
    作品内では魅力的で他者を飽きさせない人物の場合はどんどん露出させても不快感を与えません。



    セリフ量において、
    ずり上げずり下げインサートされるってことは映る時間を奪われているということです。

    テレビ番組を見ていてもわかるように、
    台詞が長い人はずり上げ、ずり下げ、インサートをされて、短い人はそのままとか(ダイアログ編集無し)、
    ある程度の映る尺の配慮がされています。

    それで、台詞の内容が良ければ相手の反応の顔が見たいからすぐインサートやずり下げ、
    台詞の内容がつまらなければ、相手の顔をインサートして絵を切替え飽きさせないようにしたりします。

    露出量で主役はもちろん多いし、脇役は次に多いです。
    これは台詞量に関しても言えるのは、映る時間が長くて比例するからです。
    もちろんしゃべらない主人公で台詞が少なくても、映る時間が多い場合などがありますね。


    一見、ずり上げ、ずり下げが「テンポよく見せる」という、それ以上でもそれ以下でもないことに見えますが、
    露出量とセリフ量をコントロール、飽きさせないようにするためのものでもある
    と分かります。

    そしてテレビ、舞台、映画はカメラに映る時間の奪い合いです。
    ずり上げでカメラに映ろうと、注目を浴びようと、カメラに映る尺を奪う感じ→必死に見える→攻め
    ずり下げで相手にカメラに映る尺を奪われてしまっている→屈辱を受けているように見える→守り

    というロジックだと、

    映る+しゃべる=アピール=優勢
    映る+無言=アピール無し=劣勢

    と解釈して今回の考察に至りました。


    「映る時間+しゃべる時間」の多さで優勢となっていくという視点から、
    なぜか映っている時間が多いのに感情移入がしにくいものとして、
    「無言の相手だけが映って、ひたすらしゃべる人が画面に映らない絵」の場合とすると、
    やっぱり主導権は喋る方で、映っている相手はお人形さんみたいで、
    映っている相手をコントロールしている喋る方に実際は感情移入しやすいのではないか、
    と興味深いものもあります。
    (こういうバラエティの番組演出でマリオのように動かされている演者に全く感情移入が出来なかった)
    つまり音から感情が入るというCM制作お得意のもの、語学も音から入る、という、音が優先である法則。


    一言では説明しにくい今回のダイアログ編集、
    長くなってしまいましたが、「台詞量と露出量の奪い合いは重要」、という感じでしめます。


     

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